松島 潘さんは神戸で二代目ですよね。やっぱり神戸好き?
潘 狭い神戸にずっと僕いるんで。いやまぁ動きやすいですよね。何でも聞ける人いるし。それはもういいですね。
松島 親父から離れて、大阪で店出したろとか、一切思えへんかったん?
潘 うちは本店に母親も親父も姉ちゃんもおるしで、そん中に俺ってもうしんどいわと。で、自分の店をしようってなったんです。でも、離れていきなり違う所っていうのはなかったですね。やっぱり常連さんの恩恵を受けて、何とかしようって。
上野 神戸の人って、外へ出はらへんもんね。結婚しても嫁さんの里がこっちやったら、こっち来るんやね。で、出えへんのよね。
馬場 うちの店がトアウエストでやってる時、店に来る高校生や大学生に聞いたら、梅田は2回しか行ったことないとかよく言ってた。神戸でしか買い物せえへんよねって。
潘 ミナミは怖くて行かへんですよね(笑)
千葉 自分が思ってる大阪が、キタっていうのを知ったのが大学生のとき。ミナミっていうのがあるんだ!って感じ。
馬場 電車乗ったら20分で行けんねんけどね、キタまで。
千葉 神戸は、すごくこだわったお客さんが多い。パン屋にいた時代、本当にパンが好きな男性のお客さんが多かった。
松島 かっこええパン屋やね。男の人がよおけ買いに来るパン屋って。
千葉 車を停めて、ハードの好きなパンを買いに来るとか。
松島 洒落てる!
千葉 「君もワイン勉強しなよ」って言って、飲みさしのワインをどーんと置いていっちゃう。そういう雰囲気のお客さんがたくさんいた。
松島 へぇ。かっこええ。
千葉 オリーブオイル、これも味見してごらんって言って、お客さんが置いていったり。
松島 それはまぁ、千葉さん可愛かったのもあるよね。
一同 (笑)
千葉 お客さんがまた私たちを育ててくれるような、そんなお客さんが多かったなぁ。
潘 今はもう、何十年と神戸にいたら、神戸人と思うんですか?
松島 もう神戸長いんですよ、と言っても、神戸人だとは認めてはもらえないんですよ(笑)。神戸の方たちに。
馬場 よそもんやと。
水口 上野さんはどうですか?神戸人?
上野 いやぁ自分では思ってないですよ。外野感というか。かといって大阪帰ったからというて、大阪人でもないわけで。
馬場 ほんまそんな感じ。
上野 ふわふわした感じ。そやからずっと楽しいんです。神戸はミーハーにずっと楽しい感がある。
松島 ポジショニングが自由なんで、いろんなことができる。
上野 大阪の人が来たら「大阪人です」言うて(笑)、神戸の人には「神戸長いんですよー」言うてね(笑)。
松島 神戸マルシェで食べておいしかったから来ました、っていうお客さんいる? たまにいらっしゃるでしょ。実は僕は、実店舗のお客さんとはつながらんと思ってやってるんです。僕のお客さんが、神戸マルシェに遊びに来てくれるもんやというイメージ。ところが「あそこで食べたのおいしかったから、実際食べてみたくなりました」っていう人もたまにいる。あれがかなり面白い。「あの一口食べたのが忘れられへんくて」とか言うて。
上野 「蟹汁うまかった」とかね。
松島 蟹汁から、何か来たんでしょうね。この料理屋行ってみたいなと。僕自身はそんな経験ないんですよ。たとえばどこかで弁当食うて、ここ実店舗行きたいなとかなったことないから、僕が経験したことない体験をしてる人らが来ると、面白い。新たな発見で、外でも何か感じる人は感じるんや、みたいなね。
馬場 うちは逆やね。常連はもう来いへんねん。店でゆっくり選べてるし、逆に神戸マルシェで初めて手にとって、店に来てくれる確率はすごい多いんですよ。
水口 うちもあります。マルシェでお買い物して、ちょっと来てみたくなったの、とか。そういう人が多いですね。
松島 それいいパターンやね。
馬場 うちなんか特に明石だから、ここやったら家近所やわ、とかいうお客さんが多い。たぶん飲食店さんとは逆パターン。
松島 そういうのは面白い! 後はスタッフが面白いんかなと。彼らが面白そうにやってるのがいい。
上野 イベント慣れしたっていうか、外でやる仕事に対して臆病だったやつが、慣れてきよるんよね。店以外の外での仕事、僕らやったら料理教室呼ばれたりする段取りがそつなくこなせるようになったり。
松島 そうそう、ばんじゅうに材料をババババっと用意しといてくれるようになってるんですよ。刺激を受けて成長する姿を見るのは面白い。
松島 あと今って、「玄斎さんってこんな店」ってイメージ付けられやすいでしょ。ランスってこんな店やから、こういう風にして使うべきみたいな。意外とやってる人間としては、「ちゃうねん、ちゃうねん」とかあるねんな。
上野 もっとニュートラルでおるつもりなのに。
松島 そういうものにに対して、神戸マルシェは抗えるんですよ。
福田 イメージを自分で壊せるというか?
松島 アムアムホウはいつも「売れへんでもいい」って言ってる。これが楽しいみたいで。そういうのが嬉しい。その雰囲気が伝わるようにできればいい。これからの課題かな。そういうのを見て、若い店主が「俺も出てみたいんですよね」と言えるよう持って行くのが次の仕事。それもすべては、自分らが楽しめるかどうか。
西川 他のメンバーにも伝えて行かないと。みんなにも同じような感覚になってもらって、何か新しいチャレンジをしようよ!とね。
福田 考えたら10年前に学生やった子が、社会人になって何か影響されてたりして、食べることが楽しいと気づいてくれたらいいですよね。
上野 そうですね。あの店で働きたいと言ってくれたら一番いいですよね。
一同 おぉー!
上野 あ、あの時の、10年前の・・・! みたいなね(笑)
松島 素敵やなそれ。夢ある夢ある。10年続けたから、また10年続けたら何か変わるでしょう。続けるって結構大事やなと思いましたよ。単発で終わらせないで。
西川 ちゃんとしたものを伝えたい。いいものをきちっと子ども達にも伝えて、これが本当なんだよとね。食の原点のきちっとしたものを。神戸に住んでる以上は、食べることにちゃんと認識を持っている、というのだったら嬉しい。県外行った時も、やっぱり神戸育ちなんやなぁってね。
千葉 食べることじゃなくて、物を作ってたり物販の方も。
西川 一緒だよね。食べることも、物を作ったり、売ったりすることも。一緒。
上野 職人の街のイメージあるんですよね、神戸。
松島 ええもんがちゃんとあるからね。
これにてお開きとなりました。お楽しみいただけましたでしょうか?
2016年10月16日(日)開催の神戸マルシェでお会いしましょう!